大信州

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大信州酒造は長野県松本市にあるお蔵で、創業明治21年。本社は松本ですが、造り蔵は当店より車で20分ほどの豊野にあります。初めてお取引をお願いしたのはもう20年以上前になりますが、その頃から酒質向上と特定名称酒へ販売の主力をシフトする方針をたて、常に改革、改善、努力されてきました。

大杜氏の下原多津栄さんは小谷流の筆頭杜氏で、96歳で現役を引退されていますが、現在の蔵の酒造りの原点を造った方であろうかと思います。社長が大信州の酒を語るときの言葉で、「うちの造りは、一蒸し、二蒸し、三に蒸し」は、その当時からまったく変わっておりません。


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-米-

このお蔵を語るにはどこをとっても時間がかかります。それだけ積み上げてきたものが多いというべきでしょうか。毎年コツコツそれこそ最終的な酒質を上げる努力を全ての原料、作業、管理に於いて費やしています。お米については、本年は97%が地元、県内の農家さんからの契約栽培米。兵庫県産「山田錦」は全体の僅か3%です。優秀な農家さんと絆を深め、作りたいお酒のイメージを伝える事でベクトルを共有できること。最適なお米を確保できる環境を整えています。長野県生まれの「金紋錦」は純米大吟醸に、「ひとごこち」は純米吟醸に使用されています。

さらに大きな特徴として、お米の倉入れは全て玄米です。大信州は全てのお米を自社精米します。ここのお蔵のすごいところは、原料処理の段階から酒造りが始まっているのです。しかもお米を磨く作業は、各工程にプロの技と丁寧な仕事を積み重ね、造りのキモである「蒸し」作業に高レベルで繋げます。正直毎回お話を聞くたびに、「ここまでやるのか」と、その緻密さに圧倒されます。ひとつひとつの仕事に意味がある。そしてしっかり実践し、毎年さらに進化させている。蔵人の皆さんに頭が下がります。


-水-

この蔵元様は酒質を上げると決めたときからもう既に天然水仕込みでした。今も県内3箇所から天然の湧き水を仕込み水として、取水しています。大杜氏、下原さんの故郷「小谷村」からと福寿泉など北アルプスの雪解け水は地中深く磨かれて、やわらかい口当たりとなめらかな舌触りの名水となって現れます。お米も水もコスト選ばずです。


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-今、とこれからの酒造り-

この蔵元様と出会ってからもう20年以上が経ちました。初めて社長さんが当店にお見えになったときの事は今でも鮮明に覚えています。これからの蔵の事、これからの酒屋の在り方等々、2時間以上もかけて熱く語って頂きました。

大信州さんはその言葉通り、地道な努力でひとつひとつ、造りの精度や様々なハードルをクリアして毎年着実に酒質と実績を上げ続け、現在は様々なメディアに取り上げられる人気蔵となりました。売り手として感じるのは、理想のお酒に近づけるための仕事やその年の作業にブレが無い事。時流には乗るが、流されない。水、米、技。優秀な農家さんとの契約栽培米を使用し、原料処理も全てお蔵の中で完結。水は選びぬいた天然湧水、瓶貯で冷蔵管理、火入れの方法も酒質に合わせて3種類と、全ての造り、管理に於いて毎年高いレベルで維持更新しつつ、現時点で最良の選択を実行し続けています。この20年以上にわたる努力が見事に結実し、国内外のコンクールで連続受賞の常連となりました。

造りの姿勢、目指す酒質、とにかくお客様に紹介したくなるお蔵様です。美味い酒の定義は飲み手其々ですが、良い酒の定義は間違いなく、このお蔵のお酒にあると思います。